開発するシステムの種類と開発方法論

1970年代から1980年代にかけてソフトウェア危機(Software Crisis)という言葉が盛んに使われていました。ソフトウェア開発需要が爆発的に増え、ソフトウェア開発の生産性が追いつかず、このままの勢いで需要が増えればいずれ必要なソフトウェア技術者の数が世界の人口をオーバーしてしまうというのです。うそのような本当の話です。

その頃のソフトウェア開発ツールといえば、COBOLとFORTRANがすべてであったと言っても言い過ぎではありません。OS(Operating System)はすべてアセンブラ言語で書かれていた時代です。COBOLやFORTRAN言語は基本機能しか揃っていませんでしたから、システム開発には部品から構築する必要がありました。OSも今からは想像もできないほどプリミティブなものでした。それでも、多重プログラミングやマルチタスキングがあり、コンピュータをフル稼働させることができました。もちろん仮想記憶もありました。

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構造的不況に陥った中小ソフトハウス

最近の中小ソフトハウスの調子が悪いようです。どこに聞いても良い話しが伝わってきません。1年半くらい前は違っていたのですが。景気が上向いているようだという印象をもっていたのです。それがどうしたことか、昨年の暮れには来年はどうなるのか不安だという話を小耳に挟むようになったのです。商談がめっきり減ったのです。

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ソフトウェアとは何か?

ソフトウェアという言葉は様々な文脈で使われることが多い大変曖昧な言葉です。政策的な場面では、箱ものだけではなくソフトウェア面を考えないとダメだというような使われ方をしています。つまり、橋や建物を造るだけではダメで、それをどう利用するかが問題なのだという意味です。

また、映画・音楽のことをソフトと呼んだりする人達がいます。コンピュータ業界の人が聞くとなんとなく違和感があります。

もちろん、コンピュータ業界では、ソフトウェアと言えばコンピュータプログラムを意味していますが、それだけではなく、システム全般の運用まで含めてソフトウェアと呼ぶ場合もあります。

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はじめに

あまり話題になったことはありませんが、ソフトウェア産業は重要な基幹産業です。このように言うと、意外に思われる方がおられるかもしれません。しかし、コンピュータは当然のこととして、携帯電話、テレビ、情報家電、カメラ、冷蔵庫、洗濯機に到るまで、ソフトウェアなしには動作しないのです。ですから、「ソフトウェア産業は基幹産業」だと述べて憚ることはありません。

私は、ITのプロジェクト管理に関わって30数年になりますが、今日ほど日本のソフトウェア開発プロジェクトに危機感をもったことはありません。

ソフトウェア開発のプロジェクト管理に精通した熟練者が年々減る一方で、新しく育ってくる人達が少ないのです。そうした、状況に加えて中国やインドのソフト開発企業の台頭が著しく、日本企業の競争力は年々下がってきているという印象を持っています。

ITプロジェクトの中でも、ソフトウェア開発プロジェクトは複雑でプロジェクトを成功に導く正解というものがありません。開発指針を書いたマニュアルに沿って開発作業を行えば、必ず成功するということにはならないのです。ソフトウェア開発プロジェクトは、決められた手順があっても、実行する人の経験・知識・能力や開発ツール、プロジェクトを引っ張るマネージャーの統率力などが複雑に絡み合って結果に影響します。ソフトウェア開発の成否はプロジェクト管理に委ねられています。そこで今日のプロジェクト管理のどこが問題で、どうすれば解決するのか、解を見極めたいと考えています。

今後少しずつになるとは思いますが、文書がまとまり次第公開してまいります。

2004年12月14日 (株)アイティネット 高橋哲夫