技術者が管理職に就くと次第に最新の技術から遠ざかってしまうのが世の常です。管理職は予算管理、上級職や対外的な折衝、部下の育成、部署の方針、等々、技術者とは別の幅広い領域の仕事をこなさなくてはなりません。こうした日々の仕事に専念している間に、技術は進歩し、追従できなくなって行きます。ある程度はやむを得ないとしても、技術への拘りは持ち続けていなければ、管理そのものも怪しくなってきます。過去に身に着けた技術の賞味期限は高々5年です。技術は進歩して管理者が理解できない世界が広がって行きます。理解できない技術をベースにしたプロジェクトの管理は困難になります。こうした事態に気づいて管理者は本を読んだり、講演会を聴きに行ったり、部下の話を聞いたりして何とか最新技術に乗り遅れまいと努力はします。しかし、実地体験する機会が殆どないというのが現状でしょう。実地体験がなければ技術の勘所を押さえるのは難しくなります。
こうした状況を少しでも改善するには開発現場に近いところに身を置き、現場で行なわれていることを知り、最新情報に触れ、時には現場の技術者から教えを乞うことが必要です。ソフトウェア開発の現場であれば現在使っているプログラミング言語やデータベースのイロハくらいは身に着けて置くのが望ましいです。実際にプログラミングまでやってみる必要があります。
この程度のことを常日頃やっていれば、現場技術者の会話が通じなくなってしまうようなことはありません。
管理者だけでなく、経営者にとっても自社・自部署で扱っている技術について、拘りをもって親しんでほしいものです。 ■