執筆にあたって

あまり話題になったことはありませんが、ソフトウェア産業は重要な基幹産業です。このように言うと、意外に思われる方がおられるかもしれません。しかし、コンピュータは当然のこととして、携帯電話、テレビ、情報家電、カメラ、冷蔵庫、洗濯機に到るまで、ソフトウェアなしには動作しないのです。ですから、「ソフトウェア産業は基幹産業」だと述べて憚ることはありません。

私は、ITのプロジェクト管理に関わって30数年になりますが、今日ほど日本のソフトウェア開発プロジェクトに危機感をもったことはありません。

ソフトウェア開発のプロジェクト管理に精通した熟練者が年々減る一方で、新しく育ってくる人達が少ないのです。そうした、状況に加えて中国やインドのソフト開発企業の台頭が著しく、日本企業の競争力は年々下がってきているという印象を持っています。

ITプロジェクトの中でも、ソフトウェア開発プロジェクトは複雑でプロジェクトを成功に導く正解というものがありません。開発指針を書いたマニュアルに沿って開発作業を行えば、必ず成功するということにはならないのです。ソフトウェア開発プロジェクトは、決められた手順があっても、実行する人の経験・知識・能力や開発ツール、プロジェクトを引っ張るマネージャーの統率力などが複雑に絡み合って結果に影響します。ソフトウェア開発の成否はプロジェクト管理に委ねられています。そこで今日のプロジェクト管理のどこが問題で、どうすれば解決するのか、解を見極めたいと考えています。

今後少しずつになるとは思いますが、文書がまとまり次第公開してまいります。

2004年12月14日 (株)アイティネット 高橋哲夫


ご意見募集:2004年12月、「プロジェクト管理考」を開設しましたところ、意外に多くの方々に読んで頂いているようです。正確な数は把握できませんが、問題意識を持たれている方が多いということは分ってまいりました。建設的なご意見がありましたら、是非次のメールアドレス:inf1@itnetinc.co.jp(@を半角に変更してご使用ください)宛にご意見をお寄せください。 2005年3月3日 (株)アイティネット 高橋哲夫

STC東京支部主催セミナーで講演:2006年5月23日、STC(Society for Technical Communication)東京支部のセミナー(テーマは「プロジェクマネジメント成功の鍵を握るコミュニケーションとは」)で、翻訳業界のプロジェクトにおいても、ソフト開発のプロジェクト管理が役立つとの主催者側の依頼により、「ソフトウェア開発におけるプロジェクト管理とコミュニケーション」と題して講演しました。

東京工業大学主催のシンポジウムで講演:2006年11月17日、シンポジウム「金融リスク管理のための新ITモデルの研究と開発」のセッション「プロジェクトマネジメントの知識継承」において「ITプロジェクト管理の知識継承」と題して講演しました。

社団法人新技術協会の調査研究事業に参加:財団法人新技術振興渡辺記念会の助成を受けて、社団法人新技術協会が行った「情報・通信技術の進展を妨げるソフトウェア問題の調査研究」事業に参加しました。調査・研究は特定非営利活動法人ITコンピタンス研究所と共に行ったもので、組込みソフトウェアと地域の活性化に焦点を当てています。

社団法人新技術協会の調査研究事業に参加:財団法人新技術振興渡辺記念会の委託を受けて、社団法人新技術協会が行った「東日本大震災の被災者支援・復興支援に関するソーシャルメディア活用の事例調査と研究」事業に参加しました。調査・研究は特定非営利活動法人ITコンピタンス研究所と共に行ったもので、東日本大震災でソーシャルメディアが果たした役割と、ソーシャルメディアの将来性について論じています。報告書はITコンピタンス研究会のHPからダウンロードできます。