はじめに

あまり話題になったことはありませんが、ソフトウェア産業は重要な基幹産業です。このように言うと、意外に思われる方がおられるかもしれません。しかし、コンピュータは当然のこととして、携帯電話、テレビ、情報家電、カメラ、冷蔵庫、洗濯機に到るまで、ソフトウェアなしには動作しないのです。ですから、「ソフトウェア産業は基幹産業」だと述べて憚ることはありません。

私は、ITのプロジェクト管理に関わって30数年になりますが、今日ほど日本のソフトウェア開発プロジェクトに危機感をもったことはありません。

ソフトウェア開発のプロジェクト管理に精通した熟練者が年々減る一方で、新しく育ってくる人達が少ないのです。そうした、状況に加えて中国やインドのソフト開発企業の台頭が著しく、日本企業の競争力は年々下がってきているという印象を持っています。

ITプロジェクトの中でも、ソフトウェア開発プロジェクトは複雑でプロジェクトを成功に導く正解というものがありません。開発指針を書いたマニュアルに沿って開発作業を行えば、必ず成功するということにはならないのです。ソフトウェア開発プロジェクトは、決められた手順があっても、実行する人の経験・知識・能力や開発ツール、プロジェクトを引っ張るマネージャーの統率力などが複雑に絡み合って結果に影響します。ソフトウェア開発の成否はプロジェクト管理に委ねられています。そこで今日のプロジェクト管理のどこが問題で、どうすれば解決するのか、解を見極めたいと考えています。

今後少しずつになるとは思いますが、文書がまとまり次第公開してまいります。

2004年12月14日 (株)アイティネット 高橋哲夫

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