社会とソフトウェア

現在の日本は様々な問題を抱えていながら少しも改善の方向に向かっていないように多くの皆さんは感じていることででしょう。どうしてこうなってしまったのか。振り返って見るといろいろなことが考えられます。冷戦が終わり、日米欧で独占していた市場経済の中に東欧や中国をはじめとする新興国が参加し、日米欧を中心としていた経済の均衡が崩れ、もっと大規模な製品・サービス・労働市場の世界へと変化しはじめ、日本の存在感が低下し、どう対処して良いか分からない状態にあると見ることができます。

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帳票サンプル

ソフトウェア開発プロジェクトで用いる帳票のサンプルを紹介します。

ここで紹介する帳票は学習ツール開発プロジェクトを想定しています。しかし、様々なプロジェクトで応用できるはずです。参考になれば幸いです。

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ソフトウェアは知の媒体

日本はソフトウェアに関する基礎教育を学校教育として行うべきだと私は考えています。現在の情報に関する学校教育は情報技術を使う能力(情報リテラシー)に重点がおかれていますが、ソフトウェアの基礎ともいうべき教育、即ち情報とアルゴリズムについて国語や数学と同じレベルで学ぶことが将来の人材育成にとって必要であると思います。知の媒体として1960年代に新しく登場したソフトウェアはそれまで表現できなかったある種の知を表現できるようにしました。本稿ではソフトウェアによって表現可能となった知とその重要性について概観し、情報とアルゴリズムについての教育の必要性について述べたいと思います。

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クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングはGoogleの経営トップが使い始めたことばだと聞いています。クラウドとは雲の意味(インターネットのネットワークを図示すると雲のように見えるのだそうです。私は楕円形を使いますが)で、インターネットの先にあるコンピュータ資源を誰もが自由に使えるようになり、自前のコンピュータ(サーバ)やアプリケーションは不要になると言われています。「クラウド」にはリソースの所在が利用者に見えないという意味もあるそうです。これは少し不安になります。
概ねこのような解説がついて、将来、クラウドコンピューティングが支配的になるというようなインフォマーシャル記事(情報を提供するタイプのコマーシャル記事)が新聞や雑誌などで紹介されるようになりました。

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なぜソフトウェア企業は東京圏に集まるのか

前稿:ソフトウェア事業と共同体で述べたように、東京圏の人口の全国比が27%であるのに対し、ソフトウェア業従事者に関しては東京圏は61%です。なぜ、このようにソフトウェア業従事者が東京圏に集中しているのでしょうか。先ず、日本の産業の変化を私の個人的な体験から述べたいと思います。1967年、私は社会人としてある通信機メーカーに入社しました。当時、この会社には東京圏に4つの事業所がありました。そこでは多くの技能技術者が働いていました。設計とものづくりが一体となった工場で、部品の多くは社内もしくは国内他社から調達していましたが、1980年代の半ばには、事業の発展とともに工場は人材を求めて地方に移り、東京圏の事業所は設計・研究開発拠点に変化して行きました。ソフトウェア開発についても地域の人材を求めて日本各地にソフトウェア開発事業所が作られました。1990年代になると、経済のグローバル化の進展や冷戦終結に伴って、海外の低賃金の労働者が市場経済に参入し、部品は海外調達が多くなり、国内工場の一部は海外に移転しました。東京圏には、若干の製造業もありますが、企画・技術・事務・営業部門などに集中し、現在に到っています。また、金融業や各企業の本社機能が利便性を求めて東京圏に集まってきました。そしてグローバル化と共に地域では工場が減り、地域の労働者は東京圏に行くか、東京の仕事を地域で行う比率が高まりました。

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