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ソフトウェア工学とITプロジェクト管理 | ||||||||||
ITプロジェクト管理はソフトウェア工学の一分野なのでしょうか。答は否です。ソフトウェア工学はソフトウェア開発に必要な技術問題を扱います。ソフトウェア工学はあくまでもアルゴリズムやシステムというプログラミング言語で表現される「もの」が取り扱いの対象となります。ソフトウェアの品質についても対象が「もの」ですからソフトウェア工学の領域のテーマです。しかし、ITプロジェクト管理はソフトウェアを開発するための組織、チーム、個人のあり方が対象となります。つまり、人間の問題を取り扱います。ITプロジェクト管理は技術というよりは経済学のような社会科学の一分野と見るのが妥当と言えます。 ソフトウェア工学はプログラミング技法、アルゴリズム、プログラム構造、プログラミング言語、データベース、コンパイラ、オペレーティングシステム、ネットワーク、並列処理、オブジェクト指向、フレームワーク、・・・と発展してきました。今後も益々発展して行くものと思います。ここで議論されるのはあくまでも「技術」です。 これに対して、ITプロジェクト管理は、前項:ITプロジェクト戦略(下図参照)で述べたように、4つのレベルの戦略(戦術)が問題にされます。
上の表に「技術」とありますが、ここではITプロジェクトでどの技術を採用するかを問題にしています。あるプロジェクトで誰がどの方法論/開発ツール/技術を採用するかという問題です。ITプロジェクト管理ではあくまでも「人」がどのように行動するかが問題となります。 この2つは区別して考えなければなりません。ITプロジェクト管理をソフトウェア工学と捉えて行動することは避けなければなりません。本来「人」一人ひとりの能力や意欲を考慮してITプロジェクトを運営をしなければならないところを、決められたプロセスに人を割り当て、決められたことをこなして行けば、目的が達成するという考えは危険です。ITプロジェクトがおかれる環境はソフトウェア工学ほど見通しがきくわけではありません。「人」の問題だからです。「ソフトウェア開発を工学的にとらえるとことごとく失敗する」と言われるのは正にこのことを指しています。 |
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