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新年にあたって
 
 あけましておめでとうございます。

 これまで、ITプロジェクト管理の問題をいろいろ見てきましたが、日本のソフトウェア問題の本質は方法論などのテクニカルな問題ではないことが分かってきました。2004年末から書いている「ITプロジェクト管理考」は技術の問題から出発しましたが、次第に経営や制度の問題に移ってきました。日本のITプロジェクト管理の問題点を探るうちに、本質的な問題が技術にあるのではなく、経営や制度にあることが分かってきたからです。ITプロジェクト戦略に述べたように、ITプロジェクト管理は総合的な戦略の問題であり、技術はその一端を担っているに過ぎません。多重下請け構造はITプロジェクトの成否に大きく影響していますが、これは技術の問題ではなく、経営の問題です。技術が如何に優れていても、末端の技術者の“生き血”を吸って生きながらえる(いわばネズミ講の)トップ企業の考え方が変わるか、崩壊するかしなければ、実際に仕事をこなす技術者のやる気を削いでしまうことになります。

 ITプロジェクト管理は、当面組込みソフトウェアの領域へ浸透して行くと思います。しかし、そこで終わることはないでしょう。IT、中でもソフトウェアシステムが世の中のあらゆる産業で必要となって来ますので、ITプロジェクト管理の重要性は今まで以上に増してきます。このような重要な位置づけにあるソフトウェアシステムの開発に関わる技術者が従来のような劣悪な条件下に置かれていることは日本社会の発展を阻害することになり、どうしても止めねばなりません。

 このような重大な問題に対して、落胆していたり、批判したりしているだけでは何も解決しません。そこで、今年は、ある地方都市のソフトウェア産業と関わり、何としても上記の悪習を打破する方策を見つけたいと考えています。