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硬直化した労働市場を見直せ
 

 今年の年頭の挨拶で、

 昨年の年頭の挨拶で「・・・ソフトウェアシステムの開発に関わる技術者が従来のような劣悪な条件下に置かれていることは日本社会の発展を阻害することになり、・・・」と述べ、地方都市の一部でこのような状況改善の方策を模索すると書きました。しかし、この問題は日本の雇用慣行に根差していることに気づきました。終身雇用を前提とした雇用慣行に縛られた、硬直化した労働市場の下では必然的に多重下請け構造が生じるのです。この問題の解決には日本の人々の意識改革が必要となります。

 社会と産業構造はハイスピードで変化しています。この変化に対応できない労働市場は日本を衰退させます。時々刻々変化する社会と産業構造に対応して人も変化しなければなりません。自らの能力を磨き、成長する産業に仕事を移して行かなければどうして生き延びることができましょうか。明治以来の日本人はみんな変わることに努力してきました。そうした努力がつい最近までの日本の成長を支えてきました。

 今年の検討テーマの一つとして多重下請構造と労働市場との関係について取り上げたいと考えています。

と書きました。また、前稿:ソフトウェア事業と共同体では多重下請構造の解決策として特定の共同体(協同組合と言った方が良かった)を提案しています。しかし、さっぱり良い考えが出てきませんでした。時間ばかりが経って、悶々としていたところで、アゴラ言論プラットフォームの池田信夫氏の「日本経済のボトルネック」という記事を読んでいましたら、私の疑問が氷解しました。多重下請構造がなぜ生じたかは池田氏が書いているように「需要変動の大きいIT産業では、労働者保護の負担を避けるために下請け・孫請けなどの多重下請け構造ができ、・・・」ということが正しい見方であると思います。池田氏は2009年3月30日のアゴラのブログで既に強直化した労働市場を見直せということを指摘していたのです。私が年頭の挨拶で述べたことへの回答は池田氏の記事にすべて書かれていますので、是非こちらを読んでください。