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構造的不況に陥った中小ソフトハウス
 
 最近の中小ソフトハウスの調子が悪いようです。どこに聞いても良い話しが伝わってきません。1年半くらい前は違っていたのですが。景気が上向いているようだという印象をもっていたのです。それがどうしたことか、昨年の暮れには来年はどうなるのか不安だという話を小耳に挟むようになったのです。商談がめっきり減ったのです。

 しかし、大手のソフトハウスは業績を伸ばしているのです。これはいったいどういうことなのでしょうか。やはり中国の影響が大きく効いているのでしょう。

 大手のソフトハウスは価格競争力をつけるため、生産性が高いソフトウェア開発支援ツールを導入しています。しこしこと手作りで作るようなところはもはや存在しません。また、業種・業務ノウハウをもたなくても開発できるシステム開発の下工程はできるだけ価格が安い下請け企業に発注しています。200〜300人以上の人材をかかえるソフトハウスは中国人技術者を採用する力があります。しかし、20〜30人規模のソフトハウスにはそのような力がありません。

 このような状況が起きていることを中小ソフトハウスの経営者は認識しなければならないと思います。

 しっかりとした技術を持っていれば、そのような状況にならないのではないかと期待することはできません。標準化された技術は、日本国内でなくても、人件費が安い中国人技術者に仕事が回せるのです。インターネットのおかげで、日本国内でなければならないという足かせははずされてしまいました。

 このような状況はIT先進国アメリカでも起きています。CUTTER IT JOURNAL Vol.17,No.10には「Offshore Outsourcing : No Pain, No Gain?」という特集記事が載っています。アメリカの場合、仕事はインドに流出しています。ここでも、標準的技術はインドでまかない、顧客と密接に絡んだ仕事はアメリカで行われるようになってきました。

 従来ならば、最もお金がかかる下流工程の仕事が海外へ流出し、上流工程の比率としては3分の1以下で済む仕事が国内に残ったのです。

 今後ともこの状況は変わらないと考えなければなりません。大手ソフトウェアハウスといえども、中国ソフトハウスが日本のビジネススタイルを学習し、直接日本の企業を顧客とする時代が訪れないとは限りません。

 まさに、中小ソフトハウスにとって構造的不況に入ったと言うことができます。