続き:その後の東日本巨大地震分析 | |||||||||||
2011年3月11日の巨大地震が起きてから10ヶ月が経ちました。2011年6月11日の記事を書いてから大きな変動がありました。それは日本列島が大きく東に伸びていることです。国土地理院のGPSによる地殻変動測定を見比べてみましょう。図6は前にも掲載したもので兵庫県日高を基点とする近畿・中国・四国地域の地震直後の各観測点の移動ベクトルです。ところが、図7に示すように10ヶ月後の日高を基点とする同地域の各観測点の移動ベクトルは大きく変動しています。
図7では、基点としている兵庫県日高の東側は東に移動し、西側は西に移動しています。これは基点としている日高が東に移動しているため西側の地域が西に移動しているように観測されるからです。その証拠に九州長崎の福江を基点とすると図8に示すようにこの地域全体が東へ移動しています。
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図8では、基点とした長崎県福江が西へ移動しているので図のような観測が見られるのではないかという疑問が出てきますので、九州地域の変動がどうかを見てみましょう。九州地域は図9に示すように大きな変化は見られません。基点の福江が西へ移動したのであれば九州の各観測点は東へ移動したように観測されるはずです。しかし、実際は基点の福江の東側は東へ移動していず、西北西へ移動しています。ここではフィリピン海プレートが九州の東部や近畿・中国・四国を西北西から北北西へ押しているように見られます。 |
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長崎の福江を基点として、中部・関東と東北地域の地殻変動状況をそれぞれ図10、図11に示します。 | |||||||||||
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図8、図9、図10、図11から分かるように、東北地方から近畿・中国・四国地方にかけて日本列島は餅が伸びるように東に移動しています。また、図8〜図10からはフィリピン海プレートが西と北に移動していることも読み取れます。四国沿岸部は北北西に移動し、中国・近畿、中部・関東が北東に移動し、東北が東に移動しています。日本列島は10ヶ月とういう時間をかけて時計回りに捻じれるように移動しています。 このような水平方向の移動だけでなく、垂直方向の変化も生じています。図12〜図15は九州から東北にかけての垂直方向の10ヶ月間の変化を示しています。水平方向の移動が大きかった東北や北関東の海側が地盤沈下しています。餅を伸ばすと薄くなるような現象なのかもしれません。中部地方は日本海にかけて地盤が上昇しています。これはフィリピン海プレートが押し上げているのかもしれません。同様の現象は近畿・四国地方、九州南部にかけてもみられます。 |
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以上見てきたように日本列島の地殻は2011年3月11日の巨大地震以降10ヶ月間で大きく変動しています。2012年1月現在2011年3月11日の余震とみられる震度3以上の地震の数は減ってきました。震度1,2レベルの地震も減っています。しかし、今回生じた日本列島の歪みは他の地震の発生要因となると考えられます。特にフィリピン海プレートが北西や北の方向に移動していることは東海、東南海、南海地震の発生に何らかの影響を与えないわけはありません。 | |||||||||||
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